新事業進出補助金第1回公募をまとめて解説します。

令和7年4月22日に新事業進出補助金第1回公募が開始されました。
こちらではスケジュールや申請要件などの内容について、新事業進出補助金公募要領等を活用し、まとめてお知らせします。
基本要件も多岐にわたるため、申請を検討されている事業者様は申請要件等に該当するか、詳細は必ず【新事業進出補助金サイト】をご確認ください。

目次
・新事業進出補助金とは?
・第1回公募スケジュール
・新事業進出補助金の要件
・新事業進出補助金の補助対象経費
・新事業進出補助金の「補助上限額」及び「補助率」
・新事業進出補助金の予算額は? 採択される企業はどれくらい?
・新事業進出補助金の加点項目は?
・新事業進出補助金の減点項目は?
・新事業進出補助金の審査方法は?
・書面審査のポイントは?
・新事業進出補助金の「まとめ」
新事業進出補助金とは?

「新事業進出補助金」とは、中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置であり、「令和6年度補正予算(案)」にて、「持続的な賃上げを実現するための生産性向上・省力化・成長投資支援」の1つとして創設されました。
中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金です。

第1回公募スケジュール

公募開始:令和7年4月22日(火)
応募受付:令和7年6月中旬(予定)
応募締切:令和7年7月10日(木)18:00まで
補助金交付候補者の採択発表:令和7年10月頃(予定)
交付申請期限:採択発表から2ヶ月以内


出典:新事業進出補助金ホームページより抜粋

新事業進出補助金の要件

「新事業進出補助金」の「補助対象要件」は、次の通りです。

    <基本要件>

  1. 新事業進出要件
  2. 企業の成長・拡大に向けた新規事業※への挑戦を行うこと。
    ※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること。
    新事業進出の定義は、「新事業進出指針」にて定めています。「新事業進出指針の手引き」にて、具体的な考え方を示しておりますので、必ずご参照ください。

  3. 付加価値額要件
  4. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

  5. 賃上げ要件(目標値未達の場合、補助金返還義務あり)
  6. 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上(又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上)増加させること。

  7. 事業場内最賃水準要件(目標値未達の場合、補助金返還義務あり)
  8. 補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における地域別最低賃金より+30円以上高い水準とすること。

  9. ワークライフバランス要件
  10. 補助事業終了時点までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること。

  11. 金融機関要件
  12. 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること。

    <賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件>

  1. 賃上げ特例要件(要件未達の場合、補助金返還義務あり)
  2. 補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと。

    • 補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること。
    • 補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること。

上記7つの基本要件があります。申請を検討されている事業者様は基本要件に沿った内容であるかの確認をお願いします。

新事業進出補助金の補助対象経費
  1. 機械装置・ システム構築費(建物費といずれか必須)
    • 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)※1の購入、製作、借用※2に要する経費※3※4※5※6
    • 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入、構築、借用※2に要する経費※3※4※7※8
    • ①又は②と一体で行う、改良※9、据付け※10又は運搬に要する経費

    ※1 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象です。「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象になりませんのでご注意ください。
    ※2 「借用」とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となります。ただし、リースについては、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能です。詳細は、「6-3.リース会社との共同申請について」を参照してください。
    ※3 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となります。
    ※4 既存の機械装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外です。
    ※5 補助対象となる機械装置等は、単価10万円(税抜き)以上のものとなります。
    ※6 3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。
    ※7 100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合は、実績報告時に、要件定義書(費用見積書を含む)または開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)を提出する必要があります。
    ※8 補助事業のPR等に係るウェブサイトに係る経費は、「広告宣伝・販売促進費」となります。
    ※9 「改良」とは、本補助金で新規に購入又は本補助金のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものです。
    ※10 「据付け」とは、本補助金で新規に購入又は本補助金のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。

  2. 建物費
    • 専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修※1※2に要する経費※3※4
    • 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費※3※5
    • 補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設に要する経費※3※6

    ※1 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象です。
    ※2 建物の単なる購入や賃貸は対象外です。
    ※3 入札又は相見積もりが必要です。
    ※4 補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められませんのでご注意ください。不動産賃貸等に転用された場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要がございますのでご注意ください。
    ※5 必ず①の経費を計上していることが必要です。②の経費のみで建物費を計上することは認められません。
    ※6減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「構築物」に係る経費のうち、①で建設・改修する建物に付随する構築物については対象となり得ます。(対象となる構築物は①の建物に付属又は隣接しており、一体的に使用されるものであることが必要です。)必ず①の経費を計上していることが必要であり、③の経費のみで建物費を計上することは認められません。また、①で建設・改修する建物より耐用年数が短い構築物のみが補助対象となります。

  3. 運搬費
    • 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費※1

    ※1 購入する機械装置等の運搬料については、機械装置・システム費に含めることとします。

  4. 技術導入費
    • 補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費※1※2

    ※1 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となります。
    ※2 技術導入費、外注費、専門家経費の支出先に同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできません。

  5. 知的財産等関連経費
    • 補助事業の開発成果※1の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得※2に関連する経費※3

    ※1 本補助金における補助事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象になりません。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象になりません。
    ※2 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象になりません。
    ・日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
    ・拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費
    ※3 国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になります。

  6. (検査・加工・設計等に係る)外注費
    • 補助事業遂行のために必要な検査等・加工や設計等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費※1※2※3※4※5※6

    ※1 機械装置・システム等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上してください。
    ※2 外注先との書面による契約の締結が必要です。
    ※3 事業計画書に、外注先の概要及び当該外注先の選定理由を具体的に記載する必要があります。交付審査において必要性が認められない場合は、補助対象外となる場合があります。
    ※4 専門家経費・技術導入費に該当する経費を外注費として計上することは出来ません。
    ※5 技術導入費、外注費、専門家経費の支出先に同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできません。
    ※6 以下の経費は補助対象外です。
    ・外注先による機械装置
    ・システム等の購入に係る経費
    ・外部に販売
    ・レンタルするための量産品の加工の外注に係る経費
    ・申請者自身が行うべき手続きの代行に係る経費

  7. 専門家経費
    • 補助事業遂行のために必要な専門家※1※2に支払われる経費※3※4※5

    ※1 補助事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要不可欠である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます。
    ※2 事業計画書に、専門家の概略・略歴及び当該専門家からの技術指導や助言が必要不可欠である理由を具体的に記載する必要があります。交付審査において必要性が認められない場合は、補助対象外となる場合があります。
    ※3 補助対象経費は以下の謝金単価に応じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円が上限)です。
    ・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師:1日5万円以下
    ・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ:1日4万円以下
    ・上記以外:1日2万円以下
    ※4 旅費は、事務局が定める「旅費支給に関する基準」のとおりとします。
    ※5 技術導入費、外注費、専門家経費の支出先に同一の事業者(みなし同一事業者を含む)を含めることはできません。

  8. クラウドサービス利用費
    • 専ら補助事業のために使用される※1クラウドサービスの利用に関する経費※2※3※4

    ※1 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費のみが対象となります。自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。
    ※2 具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。
    ※3 サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみとなります。
    ※4 クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となります(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)。ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象です。 また、パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象となりません。

  9. 広告宣伝・販売促進費
    • 補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築※2、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費※3※4※5※6

    ※1 <上限の考え方(計算式)> 上限額=事業計画期間内の総売上見込み額合計÷事業計画年数×5%
    ※2 100万円(税抜き)以上のウェブサイト構築費を計上する場合は、実績報告時に、要件定義書(費用見積書を含む)または開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)を提出する必要があります。
    ※3 金額に関わらず、複数者からの見積もり及び価格の妥当性が確認できる証憑の提出が必要です。
    ※4 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、ウェブサイトが公開されること、展示会が開催されること等が必要です。なお、交付決定後の発注・契約が前提となります。
    ※5 実績報告時に、成果物の写真等を全て提出することが必要です。ネット広告等の電子媒体についても、掲載した時期や内容及びその事実が分かる資料を提出いただく必要があります。
    ※6 以下の経費は補助対象外です。
    ・補助事業以外の自社の製品
    ・サービス等の広告や会社全体のPR広告に係る経費
    ・マーケティング市場調査に係る経費

※上記の補助対象経費が本補助金で活用できる経費項目ですが、これらの経費のうち「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかは必ず含まれていなければなりません。また、上記の補助対象経費の「外注費」、「専門家経費」、「広告宣伝・販売促進費」においては補助上限額がありますのでご注意ください。

新事業進出補助金の「補助上限額」及び「補助率」

「新事業進出補助金」の「補助率等」は、下記の通りです。

従業員数20人以下    2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人   4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人  5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上   7,000万円(9,000万円)
補助率          1/2

※カッコ内の補助上限額は「大幅賃上げ特例適用事業者」の上乗せ後の上限額です。
「大幅賃上げ特例適用事業者」は、3~5年の補助時事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成する計画を立てた場合は、上記のように上限額が上乗せされます。但し、目標未達の場合は、原則として補助金の返還が求められる点に注意しましょう。
※補助下限額は750万円とされていますので、「税別1,500万円」以上の投資が必要になります。交付決定時に1,500万円を下回る場合は交付取り消しとなりますので注意が必要です。

新事業進出補助金の予算額は?採択される企業数はどれくらい?

「新事業進出補助金」「予算額」は、「総額1500億円規模」とされています。

令和8年3月31日までに「計4回」の公募が予定されており、年間で6000社程度の採択が予定されています。1回の採択数は、「1,250社」前後になることが予想されますが、他の過去の補助金においても、1回目の方が採択されやすい傾向にありますので、申請を検討されている事業者様は早期に準備をしていくと良いでしょう。

新事業進出補助金の加点項目は?

以下の項目を満たす事業者様については、審査で一定程度の加点が実施されます。なお、加点項目は応募締切日時点で満たしている必要があります。

  1. パートナーシップ構築宣言加点 「パートナーシップ構築宣言」
    ※ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者
  2. くるみん加点 次世代法に基づく認定(トライくるみん、くるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた事業者
    【参考】厚生労働省「両立支援のひろば」
  3. えるぼし加点「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」に基づく認定(えるぼし1~3段階又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている事業者
    【参考】厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
  4. アトツギ甲子園加点 アトツギ甲子園のピッチ大会に出場した事業者
  5. 健康経営優良法人加点 健康経営優良法人2025に認定されている事業者
  6. 技術情報管理認証制度加点 技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者
  7. 成長加速化マッチングサービス加点
    ※成長加速マッチングサービスにおいて会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者
  8. 再生事業者加点 中小企業活性化協議会等から支援を受けており※1、以下のいずれかに該当している事業者
    ⚫ 再生計画等を「策定中」の者※2
    ⚫ 再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した者 ※1
    以下に掲げる計画に関する支援を受けている者(同計画に基づき事業譲渡を受ける(又は受けた) 者を含む)。
    (ア) 中小企業活性化協議会が策定を支援した再生計画
    (イ) 中小機構が策定を支援した再生計画
    (ウ) 産業復興相談センターが策定を支援した再生計画
    (エ) 株式会社整理回収機構が策定を支援した再生計画
    (オ) 「私的整理に関するガイドライン」に基づいて策定した再建計画
    (カ) 中小企業の事業再生等のための私的整理手続(中小企業版私的整理手続)に基づいて策定した再 生計画
    (キ) 産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けた認証紛争解決事業者(事業再生ADR事 業者)が策定を支援した事業再生計画
    (ク) 中小機構が出資した中小企業再生ファンドが策定を支援した再生計画
    (ケ) 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が同機構法第19条の規定による支援決定を行った事業 再生計画
    (コ) 株式会社地域経済活性化支援機構が株式会社地域経済活性化支援機構法第25条の規定による再生 支援決定を行った事業再生計画
    (サ) 特定調停法に基づく調停における調書(同法第17条第1項の調停条項によるものを除く。)又は 同法第20条に規定する決定において特定された再生計画 ※2 (ア)から(キ)のみが対象。また、「策定中」の定義は以下のとおり。 ・(ア)から(ウ):「再生計画策定支援(第二次対応)決定」以後 ・(エ):企業再生検討委員会による「再生計画着手承認」以後 ・(オ):同ガイドラインに基づく「一時停止の要請」以後 ・(カ):同手続きに基づく「一時停止の要請」以後 ・(キ):事業再生 ADR 制度の「制度利用申請正式受理」以後

※上記の加点項目は一つでも多く活用できれば採択される可能性が高くなります。応募締切時点で条件を満たしていないと加点として認められません。数カ月の時間を要す加点項目もありますので、申請を検討されている方は早期の事前準備が必要です。

新事業進出補助金の減点項目は?
  1. 加点項目要件未達事業者
    中小企業庁が所管する補助金※1において、賃上げに関する加点を受けたうえで採択されたにもかかわらず、申請した加点項目要件を達成できなかった場合は、事業化状況報告等において未達が報告されてから18か月の間、本補助金への申請にあたっては、正当な理由※2が認められない限り大幅に減点を行います。

    ※1 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)、サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)、小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)、事業承継・M&A支援事業(事業承継・M&A補助金)、中小企業成長加速化補助金(成長加速化補助金)、事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助事業(省力化投資補助金)、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go Tech 事業)(令和7年4月時点)

    ※2 災害を受け、事業において著しい損失を受けたと認められる場合等(震災、風水害、落雷、火災その他 の災害を受け、又は盗難にかかったこと等により、事業において著しい損失を受けたと認められる場合 (「国税通則法(昭和37年法律第66号)」第46条)その他これに準ずるものとして中小企業庁が認めた場合)により、やむを得ず加点要件を達成できなかった場合には、その限りではありません。その 場合には、事業化状況報告の提出時にその理由を説明してください。やむを得ない理由と認められた場合に限り、減点を免除いたします。
  2. 過剰投資の抑制
    各申請者が事業計画策定時に実施した市場分析は、事業計画策定時の情報を元に実施されたものであり、応募申請後、補助金交付候補者の採択発表時までの社会情勢・市場の変化や、本補助金の支援を受けて新たに行われる他社の事業による影響を考慮できておりません。 事業計画書に記載されている市場分析を実施した時点では、当該申請者に優位性が認められた場合でも、実際に申請者が事業を実施する段階においては、その優位性が消滅している可能性もあります。したがって、特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を行います。過剰投資と判断された申請に関しては、事業計画書に記載されている市場分析のとおりに事業を実施することが困難であると考えられるため、大幅な減点を実施します。
  3. 他の補助事業の事業化が進展していない事業者
    過去に以下の補助金を受給している場合、当該補助金による補助事業の、直近の事業化状況報告等における事業化段階が3段階以下である場合は、減点を行います。
    ・新事業進出補助金 ・事業再構築補助金 ・ものづくり補助金
新事業進出補助金の審査方法は?

新事業進出補助金の審査方法は、「1次審査(書面審査)」と「2次審査(口頭審査)」の2段階で実施されます。「1次審査(書面審査)」は、あらかじめ選任された「外部有識者」が審査項目に沿って判断していきます。審査項目を理解し、計画を立てていくことが採択への近道となります。「2次審査(口頭審査)」は、1次審査で一定の審査基準に満たされている事業者様を対象に実施されます。所要時間は1事業者あたり、15分程度でオンライン(ZOOM等)で行われます。口頭審査の内容は、本補助金に申請された事業計画について、事業の適格性、優位性、実現可能性、継続可能性等の観点について審査されますので自社の計画書をよく読み返しておくことが大事です。準備物として、顔写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等)が必須となります。なお、口頭審査の受験ができなかった場合は不採択となりますので必ず受験するようご注意ください。

新事業進出補助金の書面審査ポイントは?
  1. 補助対象事業としての適格性
    • 本公募要領に記載する補助対象者、補助対象事業の要件、補助対象事業等を満たすか。
      ※ 満たさない場合は補助対象外として不採択となります。
    • 補助事業により高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか。
      ※ 付加価値額要件及び賃上げ要件において、基準値を上回る高い目標値が設定されている場合、高さの度合いと実現可能性を考慮して審査します。
  2. 新規事業の新市場性・高付加価値性
  3. 「新市場・高付加価値事業とは」もご参照ください。

    • 補助事業で取り組む新規事業により製造又は提供(以下「製造等」という。)する、製品又は商品若しくはサービス(以下「新製品等」という。)のジャンル・分野の、社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか。
      ※補助事業で取り組む事業の内容が、新事業進出指針に基づく当該事業者にとっての新規事業であることを前提に、社会においても一定程度新規性を有する(一般的な普及度や認知度が低い)ものであることを求めます。
      ⚫ 新製品等の属するジャンル・分野は適切に区分されているか。
      ⚫ 新製品等の属するジャンル・分野の社会における一般的な普及度や認知度が低いものであるか。それらを裏付ける客観的なデータ・統計等が示されているか。
    • 同一のジャンル・分野の中で、当該新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。
      ⚫ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格が調査・分析されているか。
      ⚫ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。高付加価値化・高価格化の源泉となる価値・強みの分析がなされており、それが妥当なものであるか。
  4. 新規事業の有望度
    • 補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・利益を確保できるだけの市場規模を有しているか。成長が見込まれる市場か。
    • 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか。
      ⚫ 免許・許認可等の制度的な参入障壁をクリアできるか。
      ⚫ ビジネスモデル上調達先の変更が起こりにくい事業ではないか。
    • 競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。
      ⚫ 代替製品・サービスを含め、競合は網羅的に調査されているか。
      ⚫ 比較する競合は適切に取捨選択できているか。
      ⚫ 顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準は明らかか。
      ⚫ 自社が参入して、顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準を充足できるか。
      ⚫ 自社の優位性が、他者に容易に模倣可能なもの(導入する機械装置そのもの、営業時間等)となっていないか。
  5. 事業の実現可能性
    • 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
    • 最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
      ※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も考慮します。
    • 補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか。
  6. 公的補助の必要性
    • 川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業はより高く評価。
    • 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性、事業の継続可能性等)が高いか。
    • 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。
    • 国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。
  7. 政策面
    • 経済社会の変化(関税による各産業への影響等を含む)に伴い、今後より市場の成長や生産性の向上が見込まれる分野に進出することを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。
    • 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国の経済成長・イノベーションを牽引し得るか。
    • ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
    • 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、大規模な雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。
      ※以下に選定されている事業者や承認を受けた計画がある事業者は審査で考慮されます。
      ・地域未来牽引企業 ・地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
  8. 大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例の適用を希望する事業者に限る)
    • 大規模な賃上げの取組内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
    • 一時的な賃上げの計画となっておらず、将来にわたり、継続的に利益の増加等を人件費に充当しているか。
新事業進出補助金の「まとめ」

既存事業とは異なる新市場へ進出し、事業の柱を複数持つことで会社基盤を強固なものにし、高付加価値事業を創出することにより、平均以上の賃上げを望まれています。
本補助金では、「固定資産台帳」の提出が必須となっており、従来より導入している設備の更新等による、単なる置き換えでは採択されるのは難しいでしょう。
また、採択後でも「実地検査の実施」が記載されており、これまでの補助金と比較してもより厳格な体制が構築され、難易度の高い補助金であると考えます。
補助金申請には「公募要領」を読解し、加点項目の作成、電子申請システムへの入力等で相当な時間を要します。忙しい経営者にとって、補助金の仕組みや補助金の申請について頭を悩ませることは、決して上手な時間の使い方とは言えません。時間と労力を使って補助金の理解を深めるより、思い切って相談されることをお勧めします。
効率的なチャレンジへの第一歩を私たちがサポートしますのでお気軽にご相談ください。